Wes Montgomery Full House

guitar の名作を登場させましょうか。この人なしでは話が始まりませんからね。絶対に聴いていただきたい名盤をご紹介いたします。

Jazz guitar といえば、Wes Montgomery ですね。独特の親指オクターヴ奏法はこの人の専売特許であり、後世の guitarist でこの人の影響を受けなかった人はいません。以前ご紹介した George Benson はもちろん、Metheny もしかり。偉大なる巨人の一人です。
後の CTI レーベルにおける一連のイージーリスニング路線と違って、この頃はバリバリのハードバップを弾いていた頃でノリも最高です。この録音は、実は楽旅の途中の San Francisco にて、当時 Miles Davis Group の一員だった Wynton Kelly と、やはりたまたま滞在中の Johnny Griffin に Riverside の名 producer である Orrin Keepnews が声を掛け、”Tsubo” というクラブでいわゆる公開録音形式で行われたものです。各人が本当に息の合った熱い演奏を繰り広げていて、一度聴いたら忘れられないメロディが目白押しのアルバムとなっています。

オクターヴ奏法というのは、1弦と3弦、2弦と4弦というようにオクターブ離れた弦を右手の親指のストロークで弾くのですが、こっぱやいメロディも弾くとなると超人的なテクニックが必要になる極めて難しい奏法です。重なった音が独特の暖かみとサウンドの厚みをもたらし、すぐに Montgomery だ、と分かるほど個性的な弾き方です。日本にも、宮之上貴昭(よしあき)さんという「日本のウェス」と呼ばれる人がいて、昔はよくお世話になりました。

このアルバム、実は苦い思い出があります。最初にやっていたお店が火事で焼失してしまった時に、燃えている最中でかかっていたのが Full House でした。

Johnny Griffin (ts, except-2)
Wynton Kelly (p, except-2)
Wes Montgomery (g)
Paul Chambers (b)
Jimmy Cobb (ds)

1. Full House 9:16
2. I’ve Grown Accustomed To Her Face 3:29
3. Blue ‘N’ Boogie 9:38 (take 2)
4. Cariba 9:41 (take 2)
5. Come Rain Or Come Shine 6:57 (take 2)
6. S.O.S. 5:03 (take 3)

Wes Montgomery - Full House (Keepnews Collection)