Wynton Marsalis の弟子といって良い盲目の pianist のデビュー盤をご紹介しましょう。残念ながら中古盤くらいしか入手できないかもしれませんが、イチオシの演奏が詰まっています。
若い時に視力を失った Marcus Roberts は、生まれは Florida ですが Thelonious Monk の研究を極めて独特の演奏スタイルを作り上げ、Marsalis に見いだされてからは New Orleans のサウンドにも影響を受けて、さらに高度なプレイスタイルを確立した人物です。
Marsalis の元で以前ご紹介した「Live at Blues Alley」を含めて数々のアルバムに参加し、1988年に発表した自身のデビュー作が本作です。メンバーがスゴイです。なんと、drums は Elvin Jones! 。そして Marsalis の参加はもちろんベテランの Charles Rouse 等が素晴らしい役割を果たしています。
何と言っても圧巻は本人作の 1.Arrival です。私はかつてない感動を味わった楽曲というのを一部始終覚えてしまうクセがあるんですが、このナンバーも例外ではありません。Marsalis による前半のソロもエモーション、テクニックともに最高なのですが、後半の piano trio による演奏の深さに圧倒されます。感動を生み出す源はカタルシスだ、という信念を持っている私が、文句なしに推奨する名演となっています。このような演奏を生で聴くことができたらその場で死んでいいと思うくらいの素晴らしさ。Elvin Jones の渾身の力が込められたワイアブラッシュとゴリラのような唸り声が凄まじい余韻を残してくれます。
ああ、なぜこうした名演が廃盤になってしまうのでしょう。世の中おかしいとしか言いようがありません。
Marcus Roberts (pf)
Elvin Jones (ds)
Reginald Veal (b)
Wynton Marsalis (tp)
Charles Rouse (ts)
Todd Williams (ts)
1. Arrival 9:29
2. Blue Monk 4:28
3. Maurella 7:00
4. Single Petal of a Rose 3:49
5. Country by Choice 8:06
6. Truth Is Spoken Here 5:05
7. In a Mellow Tone 7:20
8. Nothin’ But the Blues 7:07
3週間待ったWYNTONが届きました。そして聴いています。
畦道を学生服を着てチャリンコで走っていて、ハッ!と気付くと・・・
夜のジャズ大通りのセンターラインに放り出されていたという感覚です・・・
初めて見る夜の大都会の大通りは感動よりも不安が先に立って、
音が体を通り抜けていく感じです。
とりあえず彷徨ってみるとしましょう。
そらみみさん
何か無理矢理腕を引っ張って引きずり込んでるようで恐縮です。どんなですか?
率直なご意見を聞かせてください。
私にとって、WINTONやMarcus Robertsの音が
取り過ぎていってしまう理由が少し判ってきました。
うま過ぎる、カッコ良過ぎる、速過ぎる
過ぎたるは及ばざるがごとし。
「よどみ」や「ひっかかる」ものが無いのです。
私にとってはそれらが余韻なのかなと思います。
でも、決して嫌いな音ではないので、
これからはこのような本格的な4ビート・ジャズ
にもふれてゆきたいと思っています。
「Wynton Marsalis / Live at Blues Alley」で
一番嫌いな曲は2枚目の5曲目「枯葉」で
一番気に入った曲は2枚目の5曲目「枯葉」でした
1曲の中に全く別の世界がある、これはひょっとして
好みの演奏では。
Marcus Robertsさんのピアノもこの曲の中には
すごく感じるものがあります。
2枚目の7曲目「Snain’s Domain」もいい感じです。
そらみみさん
仰るとおりの完璧すぎなのかもしれません。率直に述べていただき非常に良く飲み込めました。
値段が張るレビューをお願いしちゃった感じですが、スゴイ耳を持った方とお知り合いになれたことを逆に喜んでいます。