Lalo Schifrin Bullitt

私にとって、Jazz の世界への入り口となり、映画本編も個人的に永遠のベスト1である宝物のような作品です。たぶん、この映画がなかったら音楽的嗜好は全く違ったものになっていたでしょう。

1968年の作品ですから、封切こそ間に合いませんでしたが数年後にリバイバル上映された地方都市の映画館で観た時の、心を鷲掴みにされた感じ・・・あのような強烈なインパクトは後にも先にも経験がないし、今後もないと確信します。この映画を劇場を含めてDVDや古くはVHS で観た回数は数えきれません。でも何回(仮に毎日)観ても常にワクワクドキドキされられるくらい完全に心酔しています。

物語は San Francisco を舞台にしたいわゆる detective ものです。ご存知の方も多いと思いますが、土地柄を生かした坂道での Ford Mustang を使ったカーチェイスシーンは映画史上に残る名場面として非常に有名です。私は Steve McQueen が大好きなので、ほとんどの作品は観ていますが文句なしにダントツで本作がベストですし、これから死ぬまで毎日観ろと言われたら喜んで見続けられるくらい好きです。

Lalo Schifrin は元々 Jazz pianist で、アルゼンチン生まれ。1950年代に Dizzy Gillespie が楽旅で南米を巡っていた時に、アルゼンチンで見いだした若い pianist でした。米国に移ってから、作曲の才能を認められて数々のTVや映画のサウンドトラックを手がけるようになり、本作の他にも『Cincinnati Kid』、『Mission Impossible(スパイ大作戦)』、『Dirty Harry』、『Enter the Dragon(燃えよドラゴン)』など日本人に限らず、世界中の誰もが絶対に聴いたことがあるはずの映画音楽の巨匠でもあります。

さて、サウンド面ですが、なんつってもカッコいいの一言。Peter Yates によるシャープな映像表現が一種ドキュメンタリー風のテイストも漂わせ、映画本編のタイトルクレジットは字幕が音楽に合わせて上下左右、縦横に流れる演出によって当時では画期的なそれだけでエンタテインメント性抜群な導入部だったし、「Shifting Gears」をバックにした前述の有名なカーチェイスの緊迫感も聴くたびに蘇ってきます。この映画は McQueen 以外の俳優が演じてはいけませんし、完成度から言って絶対に今後も焼き直しなどを思いつかないよう、ハリウッドに注文というか禁止したい名作です。

なお、リンク先の最初はオリジナルサウンドトラックで入手しづらく、もう一つは映画本編で実際使われた純粋なサウンドトラック盤となっており収録曲数も違いますが、後者の方が映画の雰囲気をより味わえます。映画DVD自体もリンクしました。


Lalo Schifrin & his orchestra

1. Bullitt (Main Title)
2. Room "26"
3. Hotel Daniels
4. Aftermath of Love
5. Music to Interrogate By
6. On the Way to San Mateo
7. Ice Pick Mike
8. Song for Cathy
9. Shifting Gears
10. Cantata for Combo
11. First Snowfall
12. Bullitt (End Title)

全品送料無料キャンペーン中

DVD

Lalo Schifrin - Bullitt (Soundtrack from the Motion Picture)

Wayne Shorter Native Dancer

Wayne Shorter の最高傑作といえばこの作品です。おそらく本作を超えるものを発表することは今後ないと思います。

実は、Shorter も Hancock も Milton Nascimento の『追っかけ』に近い存在だったそうで、この共演はある意味で夢が実現した作品らしいです。各楽曲ともメインストリームのサウンドとはほど遠い、Brazilian Fusion ともいうべき性格のもので、 Nascimento のナチュラルな歌声と Shorter らの演奏がものの見事に融合した理想的な音楽領域を創り出しています。

ゴリゴリの Jazz を求めて日夜耳を肥やしていた少年時代に、この作品と出会いました。最初は「なんて軟弱でフヤけた音楽だろう」と思い、聴き直すまではかなり時間を置いた記憶があります。当時の私にはどう考えても洒落た高級リゾートのBGMくらいにしか捉えられず、実際二十歳を超えるまではブラジル音楽の良ささえ分かりませんでした。しかし、やがて極度な偏見から脱して幅広く音楽を受け止められるようになったきっかけを与えてくれたもこの作品でした。よく聴いてみると Shorter と Hancock がそこはかとなくブラジルの音楽を慕い、自分たちが持ち合わせようがないフィーリングを求めて彼らと共に探り出す旅を綴った行程のドキュメンタリーと捉えることもできるなと思ったのです。物見遊山的な、あるいは趣味の一環で録音したとばかり思っていたのが、ある日突然例えようもなく味わい深い作品に変わった典型的な一枚です。

Wayne Shorter (ss)
Herbie Hancock (p)
Wagner Tiso (el-p, org)
Jay Graydon (g)
Dave McDaniel (b)
Roberto Silva (ds)
Milton Nascimento (vo)

1. Ponta de Areira 5:18
2. Beauty and the Beast 5:05
3. Tarde 5:49
4. Miracle of the Fishes 4:49
5. Diana 3:04
6. From the Lonely Afternoon 3:16
7. Ana Maria 5:11
8. Lilia 7:03
9. Joanna’s Theme 4:18

全品送料無料キャンペーン延長中

Pat Metheny 80/81

前回の『Parallel Realities』から繋がるのはこの作品です。1980年録音ですが、Pat Metheny Group のアルバムではありません。

鍵盤奏者は居ない分、acoustic guitar によるストロークプレイがサウンドに厚みをもたらし、美しいシングルトーンのメロディも至高の響きに聞こえます。1.は Michael Brecker も熱演ながら Jack DeJohnette に関してはベストテイクと言えるほどの圧倒的なプレイを聴かせ、後半の Charlie Haden の bass に絡む Metheny の奏でる美しいメロディも聴きどころとなっています。フォーク調の旋律と前衛的な sax のソロとの見事な融合が、非常に高い位置でバランスされたナンバーが中心の Metheny ミュージックにおけるもう一つの金字塔と言えるでしょう。

一般的には、7. Every Day (I Thank You) の Brecker の演奏が大変評価されていますが、個人的には2.の表題曲と、4.Open、『Offramp』で発表された名曲「James」の原曲とも取れる最終曲が好きです。こうした楽曲のすべてに Metheny 色というか、彼らしいフィーリングが必ず強く漂い、絶対に彼の音楽であるというメッセージを込められるのが Pat Metheny なのだと思います。

Metheny とツーショットが叶った時のNYのライブは、本作の sax 奏者の一人である Dewey Redman の子息である Joshua Redman のバンドでした。ちなみに Dewey はフリージャズで名高い Ornette Coleman との共演で有名な人で、Joshua は Harvard 大学を卒業し弁護士資格も持っています。
誰にもマネすることのできない類い希な才能を持った、Metheny のようなアーティストと同時代を生きていることに感謝しています。

Pat Metheny (g)
Michael Brecker (ts)
Dewey Redman (ts)
Charlie Haden (b)
Jack DeJohnette (ds)

1. Two Folk Songs 20:53
2. 80/81 7:35
3. The Bat 6:06
4. Turnaround 7:06
5. Open 14:34
6. Pretty Scattered 7:03
7. Every Day (I Thank You) 13:24
8. Goin’ Ahead 3:53

全品送料無料キャンペーン中(4月以降継続)