なかなか更新ができず、無精な食堂で恐縮です。今回は guitar の名手による最高の trio 演奏を聴くことができる個人的名盤の一つをご紹介します。その Steve Khan の作品を2回連続で特集しようと思います。1回目の本作はクォリティは高いものの、派手な演奏を好む向きにはあまりお勧めしません。
本食堂でもご紹介したことがある Blue Montreux を始めとする Arista レーベルの作品群にも頻繁に顔を出し、絶頂期は次回ご紹介する予定の通称 EYEWITNESS でも有名な Khan が、Ron Carter 、 Al Foster という異色の組み合わせで録音したアルバムです。かといってストレートアヘッドな Jazz を演りたかったわけではなく、セッション色の強い遊び心の中にもかなりシリアスなインタープレイが詰まった、非常にテンションの高い楽曲ばかりとなっています。
セッションミュージシャンというイメージだった Khan ですが、Arista での作品にしても、以前ご紹介した Steely Dan での扱われ方にしても「間違いない」guitarist として引っ張りだこだった人です。しかし、第一線で活躍していても代表となるリーダー作はなく、EYEWITNESS で火が付くまではサイドメン的な見られ方がほとんどだったと思います。本作は、脂が乗りきったと言っても過言ではない1991年に録音されたものですが、当初 Khan は guitar trio の演奏をしたくて Jay Anderson(bass) 、Joel Rosenblatt(drums) というメンバーでデモを録ったんだそうです。そのデモテープを聞きつけた日本の Polydor が「もっとビッグネームと演るんならリリースしてもよかですよ」と言ってきて Carter 、Foster というメンツになったそうです。
1960年代に彼が U.C.L.A.で学んでいた頃に流れていた Thelonious Monk や Wayne Shorter、Lee Morgan といった巨人たちのナンバーを Khan にしかできない形で再演しているのですが、原曲の面影はあまりなく彼のオリジナルのように咀嚼されている楽曲ばかりです。手に入るなら、是非この不思議な音世界を体験してみて欲しいと思います。
Steve Khan (g)
Ron Carter (b)
Al Foster (ds)
1.Let’s Call This(Thelonious Monk) 7:01
2.Masqualero(Wayne Shorter) 6:03
3.Backup(Larry Young) 6:27
4.Out of This World(Harold Arlen-Johnny Mercer) 7:04
5.Played Twice(Thelonious Monk) 6:05
6.Little Sunflower(Freddie Hubbard) 8:11
7.Buddy System(Steve Khan) 5:05
8.Street of Dreams(Victor Young) 7:47
9.Mr. Kenyatta(Lee Morgan) 7:50
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