Gary Thomas While the gate is open

かつて Maryland州 Baltimore を中心にした Jazz unit がいくつか注目を集めた時期がありました。『Baltimore Syndicate』、『Seventh Quadrant』などですが、独特のインテリジェンスと割と激しい曲調のギャップが特徴で、NY のサウンドとは一線を画した個性的な音とミュージシャンが存在しました。

筋肉ムキムキで重量級の tenor sax 奏者である Gary Thomas もその一人。第一作の『Seventh Quadrant』からしてまさに重量級のサウンドで、以降の各リーダー作はもちろん、サイドでのプレイも一貫して戦車みたいなサウンドを信条として活躍してきた人です。

本作は1990年録音のリーダーとしては4作目にあたるものですが、コンセプト的には初のスタンダード曲中心のアルバムとなっており、お馴染みの名曲たちを Thomas 独自の切り口で表現しています。しかし、一発目からガンガン殴られるような重量級のサウンドをカマしてくれており、Ballad 演奏であってもメンツを見てお分かりのようにリズム隊が野放し一歩手前で何とか理性を働かせました的なナンバーも見受けられます。私にとって印象深いのは、この前作に当たる『By Any Means Necessary』に参加していた John Scofield に代わって guitar を弾いている Kevin Eubanks が、それまでの Earl Klugh ライクなイメージから一転してヘヴィーな姿を披露していることです。リラックスとはほど遠いガリガリのセミアコサウンドにしびれること請け合いです。
現在、Thomas は世界的にも最難関といわれる名門 Johns Hopkins大学の Peabody Institute で Jazz 理論の主任教授を務めています。う〜ん、スゴイ人なのでした。

Gary Thomas (ts, fl)
Kevin Eubanks (g)
Renee Rosnes (p, synth)
Dave Holland (b)
Anthony Cox (b)
Dennis Chambers (ds)

1. Strode Rode 8:06
2. Star Eyes 7:27
3. You Stepped Out Of A Dream 7:58
4. The Song Is You 7:32
5. Invitation 10:00
6. Chelsea Bridge 5:38
7. On The Trail 6:47
8. Epistrophy 5:39

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Bobby Hutcherson Happenings

当Bistro はいわゆる名盤と言われる類をできる限り料理しない方針でやってまいりました。しかしながら極端にド・マイナーなものもカビでも生えていたら(失礼!)良くないし、と。ここらでちょっと有名どころに登場していただきましょう。

Bobby Hutcherson の初期の傑作といわれる作品です。Hancock の共演でより素晴らしい演奏になっていることも見逃せませんが、私的には Vibe というのはラテンでもファンクでもロックでもなく、Blues をベースにクールに決めてもらいたいわけで、その見本が本作だからです。Milt Jackson のように朝から晩まで Blues ばっかし100回くらいやらないと気が済まない人もいますが、あちらは整い過ぎていてモノ足らないんですよね。せっかく広い鍵盤と何本もマレットを使えるんだから突っ走る感じが欲しいです。Vibe で一番好きなミュージシャンは Mike Mainieri ですが、1970年以前の Hutcherson も好きです。

1.Aquarian Moon からしてフレーズの展開が絶妙で、路線変更以後と違って非常に饒舌なソロを聴かせます。やっぱり Vibe はこうでなくっちゃ、と口をついて出てしまう演奏です。1966年ですから Hancock はまだ Miles Davis から『バターノートを弾くな』とは言われてなかったはずですが、それでもゾクゾクするソロを披露しています。こっ速いナンバーばかりでなく、2.や Hancock の名曲の4.、さらに前衛的な5.といった楽曲がアルバムに深みを与えていて充実した内容と言えるでしょう。ただ、やはりストレートアヘッドな Jazz が好きな人向きなので、ひとひねり欲しいファンには少し淡泊に感じるかもしれません。

Bobby Hutcherson (vibraphone, marimba)
Herbie Hancock (piano)
Joe Chambers (drums)
Bob Cranshaw (bass)

1. Aquarian Moon 7:45
2. Bouquet 8:10
3. Head Start 5:16
4. Maiden Voyage 5:50
5. The Omen 6:59
6. Rojo 6:04
7. When You Are Near 3:51

Recording date : Feb 8, 1966

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Happenings

Gino Vannelli Nightwalker

今回はJazzではなく、AORというのか、Rockというほうが正しいかよくわかりません。Bistro Tunes でもかなり異色な一枚です。

1980年リリースなので今から30年経ったワケです。当時の私の印象は「洋楽版の西城秀樹」でした。もちろん若い頃の『ろ〜ら〜』的路線でのイメージですよ。この人には熱狂的なファンがいるのでヤタラなことを言うと怒られちゃいそうですが、正直言って大好きです。

都会的なニオイのする楽曲というのは聴いていて単純に気持ちいいし、シャウト系の vocal や必要以上に大袈裟なアレンジも実は好きなので、本作も一旦聴き始めると大体最後までノンストップで聴いてしまいます。Vannelli ファミリーに混じって、Zappa drummer 経験者で現在は押しも押されぬ実力派となった Vinnie Colaiuta がもんのスゴイ存在感を示しているところが強いて言えば今回のピックアップの理由でしょうか。

1.がやっぱりカッコいいです。スカッとします。中盤以降には「おっ、松田聖子か?」みたいなイントロもあったり、ブラコンの Quiet Storm なんかとは違う色っぽいバラードも完成度が非常に高いです。今の時代、上手なアマチュアバンドでもこれをコピーするのは相当難しいでしょう。愛聴盤です。

Joe Vannelli Electric Piano,Acoustic Piano,Organ and Synthesizer
Mike Miller Electric Guitar and Acoustic Guitar
Vince Colaiuta Drums
Brad Cole Acoustic Piano
Neil Stubenhaus Bass
Michael Fisher Congas and Percussion
David Boruff Saxphone
Background Vocals Stephanie Spruill,Julia Waters,Maxine Waters,
Gino Vannelli,Ross Vannelli and Doug Parry

1. Nightwalker 5:08
2. Seek and You Will Find 4:40
3. Put The Weight On My Shoulders 4:46
4. Believe 4:11
5. Santa Rosa 4:12
6. Living Inside Myself 4:24
7. Stay With Me 4:44
8. Sally(She Says The Sweetest Things) 4:31

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Gino

Oscar Peterson The Way I Really Play

以前ご紹介した Monty Alexander は若い頃に “Oscar Peterson もどき” と言われていたことがあります。華麗なテクニックと流暢なフレーズ、目にも止まらぬ早弾きも全然余裕の表情でやってのけるあたりも似ていました。もう取り上げたつもりでしたが、今回初めて Peterson の piano を紹介します。

カナダ生まれの Oscar Peterson は、裕福な家庭に育ち米国のような人種差別を受けずに済んだことで、その人柄も演奏スタイルも極めて明るくリズミカルなことで有名です。同世代(1925年生まれ)のミュージシャンが差別に苦しむ中、Verve、Pablo といったレーベルの創設や Jazz At The Philharmonic(JATP)の立役者でもあった Norman Granz に若くして見出され、その才能を遺憾なく発揮していきました。特に Pablo での録音は名演揃いで Oscar Peterson の piano が何たるかを決定づけたといえるでしょう。

さらに、ドイツの MPS レーベルでは総帥である Hans Georg Brunner-Schwer の庇護の元で数々の代表作を発表し、名声を確実のものにしました。本作は、MPS での Studio ライブという形式ですが、実際はお金持ちのパトロンがお抱えのミュージシャンの演奏を自慢する社交イベントの様子に近いとも言えます。とはいえ、ここでの演奏は1曲目から全開の超絶技巧ナンバーで始まり、2曲目以降もリラックスした雰囲気から次第にテンションが上がっていくようなスリルに満ちた演奏が盛り沢山の内容です。Jazz piano の世界には Chick Corea を始めとして信じられないような技巧や表現力を持ったミュージシャンが多くいますが、1.Waltzing is hip の Peterson の piano は他の誰も到達し得ない圧倒的なダイナミズムと楽器を完全に制覇している凄さを体験することができるナンバーです。piano 好き必聴。

Oscar Peterson (p)
Sam Jones (b)
Bobby Durham (ds)

1. Walzting is hip 5:17
2. Satin doll 5:07
3. Love is here to stay 5:51
4. Sandy’s blues 4:46
5. Alice in wonderland 2:59
6. Noreen’s noctorne 3:13

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