Herbie Hancock Man-Child

良く聴きもせずに最近の音楽はつまらない、とか昔は良かったとか言っていても、昔の音なんて古くさいだけぢゃん、となりそうです。そんなワケで奥の手を出すことにします。個人的 Herbie Hancock 準最高傑作をご紹介しちゃいましょう。1975年の作品です。

ベストが『 Head Hunters
』は譲れないので準最高にしましたが、Jazz 作品がダメなのではなく当時の曲調、アンサンブルがずば抜けすぎているため仕方がないのです。この頃はファンから随分バッシングがあり「生 Jazz に戻れ!」的な批判を多く浴びていました。今も昔も気に入った音楽家にはずっと同じ事をやっていて欲しいというファン心理からなのでしょう。

どうか、1.を聴いてください。二度と忘れられない Wah Wah Watson の guitar とブラス陣による圧倒的なアンサンブル。後半の electric piano のソロに被さってくるブラスの躍動感としびれるエンディングまで息つく暇もなく展開される Hancock ワールドに酔いしれることでしょう。カッコいい音楽というのはこういうモノのことを言うのです。『Head Hunters』から2年、この人は Funk をやらせても時代を切り開く超一流のパフォーマンスを成し遂げてしまうのです。それを出来もしないのに「あんなのは邪道だ」みたいにボソボソと4ビートにしがみついていただけの同業者もいたのです。翌年発表された『 Secrets
』に至っては世界一の cutting guitarist である(Ghost Bustersで売れる前の)Ray Parker Jr.が加わり、リズムは最強になりますが、ブラス色が薄まってしまいそのままフェードアウトしていって Bill Laswell との Hip-hop 路線までファンクは封印されます。しかし、彼の黒いリズムと旋律は acoustic な Jazz の範疇では表現しきれないのは事実で、このアルバムも音楽芸術の一つの到達点に数えられると言えます。

Herbie Hancock (Fender Rhodes,Arp Odyssey, Pro Soloist, 2600, String Ensemble Synthsizers,Hohner D6,Oberheim Polyphonic)
David T. Walker (g)
Stevie Wonder (harmonica)
Blackbird McKnight (g)
Wah Wah Watson (g,Voice Bag,Maestro Universal Synthesizer System,Maestro Sample And Hold Unit)
Bennie Maupin (ss,ts,Saxello,Bass Cl,bf,af)
Wayne Shorter (ss)
Ernie Watts,Jim Horn,Garnett Brown,Bud Brisbois,Jay DaVersa,Dick Hyde (horns)
Paul Jackson (el-b)
Henry Davis (el-b)
Louis Johnson (el-b)
Harvey Mason (ds)
James Gadson (ds)
Mike Clark (ds)
Bill Summers (per)

1.Hang Up Your Hang Ups 7:26
2.Sun Touch 5:08
3.The Trailor 9:35
4.Bubbles 8:59
5.Steppin’ In It 8:38
6.Heartbeat 5:16

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Claus Ogerman Featuring Michael Brecker

以前ご紹介した「City Scape」のシリーズと見せて、実はレーベルも制作意図も違うアルバムですが、個人的には前作とはまた異なる魅力を放つ佳作と捉えています。

「City Scape」が余りにも傑作だったため、当然比較対象として第二弾となればあれこれ言われるのは仕方ありません。巷の批評は芳しくないのは予想通りで、やれ通俗的だとか、なぜストリングスを前面に生かさないのか、とか色々言われました。確かに前作よりアラは多いしトータルアルバムとしては弱い部分もありますが、音楽性における編曲のうまさがそれを補って余りあるのです。

特に前半部分は前作の二番煎じを嫌って、よりポップに仕上げることで差を際立たせる努力が見えます。特筆すべきは 2.で、ここでの Marcus Miller の Slap は楽曲の格調を損なわずに見事なサポートを実現していおり、転調の際にも彼らしい身のこなしで非常に高度なバッキングを披露しています。ラストでの Randy Brecker のソロが全体をブチ壊してしまうのは我慢するとして、Michael Brecker のソロは相変わらず素晴らしく、今これを聴いても惜しいアーティストを亡くしたという無念さがこみ上げてくるのは私だけではないでしょう。後半の Robben Ford による難曲も聴きようによっては名曲であるし、GRPという商業的なレーベルでのリリースであることは差し引いて、こうした作品をできるだけ長く製作してくれるよう、音楽界にお願いしたい気持ちです。

Michael Brecker (ts)
Randy Brecker (tp)
Robben Ford (g)
Dean Parks (g)
Alan Pasqua (key)
Marcus Miller (b)
Abraham Laboriel (b)
Eddie Gomez (b)
Vinnie Colaiuta (ds)
Paulinho Da Costa (per)

1.Corfu 7:55
2.Lyricosmos 8:50
3.After the Flight 10:40
4.Adonia 8:34
5.Boulevard Tristesse 8:05

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Claus Ogerman Featuring Michael Brecker - Claus Ogerman