Pat Metheny Group Still Life(Talking)

大変な災害が起こってしまいました。3週間近く経っても依然として被害の全貌が明らかにならないほどの震災を前に、歌舞音曲どころではないと当サイトは封印しておりました。しかし現在までの経緯を見て、報道ではなく現地に何らかの形で必要とされて赴かれた方々の声を聞き、音楽がもたらす効果は決して無駄ではないと考え再開することにします。

今回のピックアップが果たしてどの程度の効果になるのかはわかりません。しかし今、私がお届けできる最高のメッセージはこのアルバムしか思い浮かびません。

本作は、Metheny が ECM から David Geffen のレーベルに移籍後の第一作で、前作の「First Circle」の路線を踏襲し Metheny Production として放った史上稀に見る傑作アルバムとなりました。私は前作とは違い、本作を別格と考えるのは、その完成度の高さよりも本作が成し遂げた広範囲にわたる Metheny サウンドの伝播です。これほどポピュラーな Instrumental Jazz の普及に寄与した作品はないと思うくらい、一般のリスナーも Pops 系のアーティストもリスペクトを込めて賞賛したものです。特に3.については松任谷由実がラジオ番組で何度も流し、手放しで楽曲の素晴らしさをアピールしていたのを思い出します。Jazz 的な価値はアルバムを通しても余りありますが、1.の guitar ソロに見られる彼らしい展開の仕方もその後の作品に繋がる試金石となっていますし、ライブでお馴染みの5.におけるプレイは、世界中の guitar プレーヤーに衝撃を与えた驚異的な演奏として現在まで語り継がれています。

3.Last Train Home で重要な役割を果たす Blamires と Ledford のバラけたコーラスは、人間の心に佇む感動という波を揺さぶり、この楽曲が持つ力を永遠に輝かせ続ける魔法として聴くものの記憶に残ることでしょう。

すべての人の心に響くものではないかもしれませんが、ここに刻まれたサウンドが痛手を負った心に多少でも希望やチカラを運んでくれたらと切に願います。

Pat Metheny (g, g-syn)
Lyle Mays (p, key)
Steve Rodby (b)
Paul Wertico (ds)
David Blamires, Mark Ledford (vo)

1.Minuano (Six Eight) 9:25
2.So May It Secretly Begin 6:24
3.Last Train Home 5:38
4.(It’s Just) Talk 6:16
5.Third Wind 8:33
6.Distance 2:43
7.In Her Family 3:15

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Still Life (Talking) - パット・メセニー

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