Astor Piazzolla Tango: Zero Hour

今回は少し異色のセレクトです。Astor Piazzolla 五重奏団による Piazzolla の最高傑作といわれる作品をご紹介します。

最初に聴いた時の衝撃は、「いかに自分は無知だったか」ということを思い知らされたことでした。Piazzolla の名前はずっと昔から知っていましたが、なかなか作品に手が出ず「Tango の破壊者」が一体どんな演奏をするのか想像の域を超えないでいました。楽器としての Bandoneon についても同様でした。
1986年New York録音の本作は、すべてにおいて非の打ち所のない Piazzolla の世界を堪能できます。1.の、騒然としたサウンドエフェクトから緊張感あふれるテーマ〜激しいアンサンブル〜静寂〜再びテーマ、と繰り返していく官能的とも言える構成とともに舌を巻く各奏者のテクニックによって一気に引き込まれてしまいます。さらに有名な 2.、3. や guitarとのユニゾンが美しい 7. など、Piazzolla の魅力を存分に味わうことができる一枚となっています。

本作には収録されていませんが、映画「Shall We Dance?」や自動車のTV CMでも使われた「Libertango」などは、誰しも耳にしているはずで全く聴いたことがないという方はむしろ少ないと思いますが、tango と意識して構えるのでなく上質の Combo 演奏がたまたま Latin フレーバーだった、という感じで楽しめるのではないかと。producer は Kip Hanrahan、同じ年には Gary Burton との共演盤もあります。

Astor Piazzolla (bn, arr, dir)
Fernando Suárez Paz (vn)
Pablo Ziegler (p)
Horacio Malvicino (g)
Héctor Console (b)

1. Tanguedia III
2. Milonga del ángel
3. Concierto para quinteto
4. Milonga loca
5. Michelangelo ’70
6. Contrabajíssimo
7. Mumuki