
Tales of Another とは別に特にお気に入りな piano trio のアルバムをご紹介します。やはりハイティーンの頃に虜になった演奏ですが、今聴いても色褪せない最高クラスのライブドキュメントがここにあります。
Montreux Jazz Festival には傑作が生まれる確率が高いと言いましたが、これもそのうちの一つです。 Monty Alexander は1944年 ジャマイカ生まれで、pianist のスタイルとしては Oscar Peterson の直系に位置します。首都 Kingston の中でも富裕な層に育ったため、かつての黒人奴隷の悲劇などには無縁でした。
アメリカで頭角を現し始めた頃は、テクニックばかりに頼る英国の植民地出身者のように言われた(Peterson もカナダの富裕層の生まれ)こともあったらしいですが、70年代に欧州への楽旅により広く認められたことが大きかったようです。私も Chicago のクラブで90年代にお会いした経験がある Ed Thigpen(drummer で Peterson Trio にも参加。 当時アメリカのミュージシャンを積極的に受け入れていた Copenhagen へ移住 )らに歓迎され、現地で様々なセッションに参加しレコーディングも行いました。その中の一つが Count Basie 楽団の bassist だった John Clayton と、Woody Herman 楽団の drummer だった Jeff Hamilton との trio での Montreux 出演につながります。
私が心酔するのは、4.Work Song のインスピレーション溢れる凄まじい、まるでジェットコースターに乗っているかのようなドラマティックな後半です。piano trio の演奏としては出色のもので、piano の弦を掻き鳴らすなどの特異な場面さえ実に必然的に思える劇的な構成となっており、さらに驚くのがこれだけの熱演の後にも拘わらず、拍手の間も与えずに次のナンバーへと展開していく巧妙な演出が、何とも大御所の晴れ舞台のようなすこぶる付きの名演奏となっているのです。
昔、wowowでこの時の演奏が放送されたんですが、残念ながら Work Song は入っておらず、ガッカリした覚えがあります。しかし、前半の Armad Jamal 作の Nite Mist Blues のゴキゲンな映像が視聴可能なので、この trio に興味を持っていただけるかどうか是非試してみてください。
Monty Alexander – piano
John Clayton – bass
Jeff Hamilton – drums
1.Nite Mist Blues 10:12
2.Feelings 5:36
3.Satin Doll 8:21
4.Work Song 13:38
5.Drown In My Tears 3:59
6.Battle Hymn Of The Republic 5:00
Recorded live at the Montreux Festival, June 10, 1976