Gerry Mulligan Night Lights

Weather Report 特集は前回でひとまず第一回を終えまして、またその気になった時に再開いたします。今回は… これは名盤ですね。文句ありません。

何と言っても、Shopin をアレンジした「Prelude in E minor」。これを聴くとかつての FM東京の深夜番組「Aspect in Jazz」のテーマ曲として当時の想い出がよみがえってきます。油井正一さんの『こんばんは。ゆいしょういちです。てぃーでぃーけーがおおくりする〜』というちょっとダミ声の名調子がすっと浮かんできます。「Mr. Lonely」を聴くと「Jet Stream」の城 達也さんの声を思い出すのと一緒なんですが、私としてはあの情報の少ない時代にこの番組に本当に助けていただいてましたので感傷的にさえなってしまいます。

さて、Gerry Mulligan という人ですが baritone sax の第一人者であり、西海岸を代表する作編曲の大御所でもあります。次回ご紹介する予定の Gil Evans とは180度反対側にいた(音楽的にではなく)境遇と幸運に恵まれた才人として Jazz 界の金字塔の一人と言えるでしょう。Mulligan は演奏なんかしなくてもアレンジャーとして充分にメシを喰っていけてた人でした。1940年代には Claude Thornhill や Stan Kenton の楽団に提供したアレンジがとても斬新で作編曲家としての地位を充分確立していました。
その後、50年代に California へ移りこの人の専売特許とも言える pianoless quartet での活動を始め、いわゆる West Coast Jazz を誕生させることになります。この成果は歴史に残る偉業といっても良いくらいで、今日の西海岸の Jazz・Fusion シーンを生み出した功労者は Mulligan だといって差し支えないと思います。モダンな時代の Jazz に piano がいない集団演奏が成り立たないわけではないですが、当時の感覚では管を加えた combo 演奏にとってはあり得ないほど斬新だったようです。

本作は Mulligan の代表作の一つであり、脇を固める Jim Hall や Art Farmer も寸分の狂いなく完璧な演奏を繰り広げています。前述の曲の他、一曲一曲が珠玉の名演となっており、静かな中にもピンと張り詰めた心地よい緊張感と絶妙なアレンジによる Festive Minor のような佳曲によって baritone sax という脇役楽器の真の魅力を存分に味わえるアルバムとなっています。

Art Farmer (tp, flh)
Bob Brookmeyer (v-tb)
Gerry Mulligan (p on A-1, bs)
Jim Hall (g)
Bill Crow (b)
Dave Bailey (ds)

1. Night Lights [1963 Version] 4:58
2. Morning of the Carnival (Manha de Carnaval) 5:31
3. In the Wee Small Hours of the Morning 5:40
4. Prelude in E minor 4:17
5. Festival Minor 6:51
6. Tell Me When 4:09
7. Night Lights [1965 Version] 2:56

Gerry Mulligan Sextet - Night Lights

2件のコメント

  1. アタシもあの番組聞いて「レコード屋」に行ってこのアルバム買いました。総て良い曲なんですが、特に黒いオルフェのジム・ホールのギターが気に入ってアランフェス協奏曲のアルバム買って、いっとき毎日両方のアルバムばっかりかけてた頃がありました

  2. ikaさん
    あの番組をご存知ということは限りなく近い年代とお見受けしました(私より先輩?)。
    油井さんの語り口は決して滑舌がいいわけではないし、ダミ声も独特だしでDJ向きとは言えなかったですが、NHK FMに出てた児山紀芳さん(Swing Journal元編集長)のソフト口調とは逆に臨場感溢れる奏者の解説は聴き応えがありました。
    アランフェスもいいアルバムですよね。

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