バッカスの愉しみ

かなりの酒飲みです。飲食業経験が長く、お里が知れるといけませんので詳しいことは書けませんが、晩ゴハンにご飯粒は必要ないクチです。

とはいえ、このご時世ですのでしょっちゅう安酒を嗜んでおりますが、ちょっとした楽しみで紛らわせております。毎週月曜夜に放送されている「吉田類の酒場放浪記」を録画しておいて、少し気が沈みがちな夜に再生しながら飲むんです。これが殊の外案配がいいのです。

『おっさんが飲み屋で酔っぱらうの流してるだけやんか』

というご意見はごもっともです。そう、たぶんテレビ黄金期でも思いつかないであろう基本的にグルメ番組とも異なる趣向は、「観たい人だけ観ればいい」という突き放した企画意図が感じられ、

『何が面白いんだ、こんなもの!』

と憤慨される方もいらっしゃるでしょう。そもそもこの吉田類という人が何やってる人物なのかが余りハッキリしないため、余計に何これ感が強く残るようです。実はシュールアートの画家だったんですが、酒を飲むことをこよなく愛し、以後物書きや俳人としての肩書きはあるものの、これといった正式な分類が難しい人です。

ではなんでこの番組を観るかというと、いわゆるグルメを自称する方にとっては絶対に口にしないであろう(ほとんどが)古ぼけた居酒屋のメニューが、たまらなく酒飲みの心を掴むからなのでしょう。いくら番組のロケとはいえ、こんなモノばかりで飲んでいたらカラダ壊すだろうなぁ、と心配するくらいモツ焼きやらハムカツやらニンニクたっぷりのカツオの刺身など、食べては酒で流しを繰り返すわけですから。

いわゆるおじさん視聴者が多いらしいのですが、さもありなん最近飲みに行けない人たちがこれで溜飲を下げる図が目に浮かびます。そして、吉田氏が酩酊状態で店から出てきて「まとめ」る際に、たぶんほとんど思いつきでしゃべるくせに、意外とボキャブラリーの多さで納得させられ、締めに気の利いた句を詠んで去られるのも、なんか悔しい感じがして結局・・・

『いいなぁ』

と洩らすしかない自分にちょっと虚しさを覚えるような感覚が、週に一度の楽しみになっているようです。

 

Sakaba

7件のコメント

  1. おはようございます。
    うちだけじゃなかったんですね!
    酒場放浪記を見ている方が
    いるなんて・・・嬉しい!
    私たち夫婦も毎回録画して、
    ナレーションにツッコミを
    入れ、楽しんでます。
    おじさんの視聴者にまぎれて
    30代も見てます~♪

  2. アッチさん
    そう、夫婦で観ながらツッコミ入れるのアリですよね。
    前半の街の紹介部分はポップスで飲む時はモダンジャズに変わるBGMも、好みです。
    カラダ壊さない程度に吉田さんには頑張って飲み歩いてもらいましょう。

  3. 番組は知りませんでしたが、実は私もかなりの酒好きです。夜に米粒を食べた記憶は…20年遡っても思い出せません。
    また勝手にCats-pawさんに親近感を抱いてしまいました。

  4. Cat’s-paw様、はじめまして。manaと申します
    (おそらく同市内在住かと思われます)。
    数年来ROM専でしたが、吉田類さんの文字を拝見し
    思わず書き込んでしまいました。
    私も毎週番組を観ています。なかなか飲みに行けない
    昨今ですが、ひと時の愉しみとなっております。

  5. manaさん
    >おそらく同市内在住かと思われます
    そうなんですか? それはそれは。
    ブログでもかなり先輩ですね。
    お酒好きの方が沢山いらっしゃるようで何だか嬉しいです。
    なんでこの番組を観てしまうのか、不思議で仕方ありません。
    でも、毎週楽しみなのもまた仕方ありません。

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