誇りをもって

地震・津波が起きてから6日が経過し、計画停電や原発での不安が解消しないままの状態が続いていますが、被災地以外での混乱は想定を超えてはいないように思います。食料品やガソリンの買いだめが起こっており、一部ではゴミ出しの今日、大量の消費期限の切れた菓子パンがゴミ置き場に捨ててあったとのツイートも見ましたが、余震は続くものの、食料を持って逃げ出すような事態にならなければ、当初から食卓に乗る予定のない脆弱な非常食はやがて廃棄される運命にありました。ただそれが、首都圏の至る所で起きているわけではないようです。

一部のこうした愚かな行動をとってしまう気持ちは、本当は誰の心の中にもあるものかもしれません。生存欲とも言うべきものが、例えば日本人に共通とされる倹約遺伝子があるにも拘わらず、物質的な豊かさを競った高度成長期の名残として出現してしまうと考えられます。ということは、バブル以降に生まれた世代で買いだめしている人は少ないはずで、若い人より年配の人の方が今回の買いだめを誘発している可能性が高い気がします。あくまで想像ですが。

社会一般として「自分たちはハンパなく苦労してきた」と声高に言う人ほどこの傾向は強いように思います。人生は元を返してもらうのが目的ではありません。重い病気になっても、余命を宣告されたのにずっと生き続ける人もいます。逆に若い元気な命が簡単に事故で奪われしまうこともあるのです。団塊の世代以上の方が戦中戦後の非常時の苦労をよく語られますが、今はそれに匹敵する非常時であることを忘れてはいけません。おまけに高度成長期のような安定した職場は現在存在すらしていません。

とはいえ、衣食住が全く変わってしまったにも拘わらず、精神に関しては気高い、博愛なる気持ちを持ち続けてきた日本人は、現状における地球上で最も誇り高き国民だと言えるのではないでしょうか。別に右翼活動をしようというのではありません。国家非常時にはナショナリズムが台頭するのは常ですが、この災難時に極めて静かに粛々と秩序を保っていけるのは、日本人にしかできない究極の奥義とも言えるものです。

今できるのは被災地での一日も早い救助と復興に正しく可能な手段で貢献することと、国を支える経済を止めない工夫を日々おこなっていく他はありません。

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