思考を止めないために

もう心配してもし切れないので、今後がどうなるか考えてみます。

地震と津波については、11日の数日前に横揺れの地震があった際、地震予知専門の機関は明確な警告は発しませんでした。11日の地震の時に「このあいだと同じだ」と思った方は多かったのではないでしょうか。
仮に後日専門家が言うように、あのレベルでは予知はできないとすると地震の予知というのは現実的ではないのかもしれません。であれば、地震や津波が来てもある程度対応できるためには発想を変えないといけないことになります。チリ地震を教訓に被災地近辺はかなりの高さの防波壁を設置したそうですが、10メートルを超える津波は想定外だったそうで、莫大な予算を必要とする公共事業の常として50メートルのヤツを作ればいいということにはなりません。むしろ、今回の規模の災害を基準にしてもそれを超えたら同じことになります。要はいつ起こっても、こんな時どうすればいいか、の手段が明らかになっていないと何もできません。

もっと難しい問題は原子力発電所でしょう。これで、我が国では原発に対する信頼は完全にゼロになってしまいました。もう新たに建設することは不可能です。電力の確保は喫緊の課題ながら、我が町に造ってもいいよ、という日本人は現れないでしょう。今回の原子炉自体は General Electric 製のものだそうですが、米国も同様の世論が巻き起こるだろうし、欧州に至ってはドイツのように10数年来の原発廃止論について政府が立法に動き出すなど、ほぼ否定の流れを止めることは無理です。
滝川女史が出ていた「オール電化」CMの続きも当分は流せません。となると自然エネルギーに矛先が向くわけですが、関連株が急上昇し、潤沢な開発費が仮に集まったとしても普及にお金が掛かりすぎるし原子力の代替えにするには効率が余りにも悪いレベルです。

中国やインドといった新興国では化石燃料の枯渇を避けなければならないので、原子力は必須の選択肢です。おまけに中国は日本同様地震大国であり、沿岸部に建設する場合は他国からの警戒感がさらに強くなります。このところの経済成長が食料も含めて資源まで大幅に輸入に頼るようになった中国にとって、世界からの目は厳しいものにならざるを得ません。

官房長官や経産省の役人の方々が不眠で説明している中、もっと危険な状態で命を賭して現場で対応している人々がいる反面、実は災害直後にアメリカから「廃炉」を前提に専門家集団の派遣を打診された際にあくまで「再開」の可能性を捨てず冷却処理にこだわった首相と東電は、のちにその責任を問われるでしょう。

迷走する政府に最後の難題を突きつけて決着をつけるどころか、経済大国と言われる国家を消失させうるほどの危機をもたらし、夥しい数の人命を奪った今回の災害は、鳥インフルエンザで怯えた数年前のことが遠い昔のことのように思えてしまうほど世界中に恐怖を与えました。

被災地で絶望に瀕している方々を思うと、ずっとまとまりなく考え込んでしまいます。

3件のコメント

  1. かつて東海村での事故の、救命に当たった方の書かれたものを読みました。
    そして、今回読み直しました。
    起こっている事象は違いますが、根本的に何も変わっていない。周辺住民はもちろん、作業にあたる方々にすら。
    原子力エネルギーは、進歩しているんだと思います。安全性も上がっていると思います。でも、それを扱う人間(=監督省庁など)が、全く進歩していないことが、今回の最大の原因だと思います。
    とはいえ、頼らざるを得ないのも事実。
    私たち一人ひとりに、とんでもなく大きな課題が突きつけられているのだと思います。

  2. ラミーさん
    二重三重の対策が吹っ飛んだ今回の原発。発電所に電気が来なくなって放射能事故が起きるなんて、素人には考えられない事態です。人の手で水をかけ続けることが終わり、動力が回復して自動運転に切り替わるまで何とか世界中の知恵を総動員して乗り切って欲しいです。

  3. わぁ、漠然と思い浮かんでいた事が、こちらで見事に代弁して頂いていました!!全く同感です。
    ドイツは反原発ですが隣りのフランスから原発の電気を買ってるし、色々矛盾が・・・。
    中国の今後もしかり、これから脱原発へ向けても本当に世界中で考えないといけなくなりましたね。
    しかし、天災(地震津波)が原因とはいえ、ここまで犠牲を払わないといけなかったのが残念です・・・。

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