Time Scoop Corporation

NHKの「タイムスクープハンター」が大好きです。
この番組の魅力は、なんといっても圧倒的なリアリティ。ヘタに名の知れた俳優やタレントは肝心の配役に起用せず、例外に近い要潤扮する主人公も基本的には脇役に徹しているため、画面の中の世界がまるで本物に思えるところが凄いのです。

基本設定は未来の世界。過去の時代における人間の営みを映像として記録アーカイブしている「タイムスクープ社」に属する沢嶋雄一なる人物が、自社のタイムワープ技術を駆使してあらゆる時代に赴き、様々な人々を調査するものです。調査対象は、主にその時代の職業や風習に焦点が当てられ、その時代の言葉遣いや行動様式の中で登場する人々に主人公が同行しながら様々な出来事に遭遇します。出てくるのはいわゆる『普通の人たち』で、歴史には残っていないが、名も無き人々が時代特有の苦難や制度に翻弄されながらも立ち向かっていく様子が描かれます。

実は、ウチの奥さんがシニアタレントということをやっているため、お仲間が出演する機会が時々あったりすることも観る理由ではあるのですが、とにかく演じる役者さんがというより演出が素晴らしいのです。
聞くところによると、オファーの際に制作側はいかなる役者に対しても時代に忠実な髪型になるよう髪を刈らせ、時代劇によくあるカツラの下からうなじの地毛がはみ出すようなハンパなことはせず、「ああ、おそらく本当はこんなだったんだろうな」と唸ってしまうようなリアリティあふれる風貌にしているそうです。役者さんたちも演技をしている感じではなく、本当にそこで生活している人たちと錯覚してしまうようなナチュラルな振る舞いをしており、また毎回起こる出来事についても予測のつかない事態に発展する場合が多く、ハラハラドキドキの中でいつも見入ってしまいます。

この臨場感を文字で伝えるのは難しいので、もしご興味があれば番組（毎週木曜夜10時）で確かめてみてください。これだけ毎回秀作を連発させることができるのは制作側に余程の情熱があるんだろうと思います。「24」みたいなドラマというより、生のドキュメンタリーに近い空気を持ったエンターテインメントといえます。