Lion騒ぎ

興味のない人にとっては何のことだかサッパリ分からない「Lion」。

Lionとは、Mac OS Xの最新バージョンのことです。バージョン10.7。とうとうPowerPCの呪縛から解き放たれ、かつて敵対していたIntelのCPUに最適化された初めてのMac OSになります。これまでのSnow LeopardもIntel仕様とは謳っていましたが、PowerPCの遺産を引きずっていたのをこの度キッパリ切り捨てたわけです。本日午後9:30からダウンロード販売が始まりました。ちなみにパッケージ販売はありません。そうです、ネット接続環境がなければインストールできません。

ポイントは『Back To Mac』。何のことかわかりませんね。

Appleはここしばらく、Macの進化よりもiPhoneに代表されるiOSに力を注いできました。タッチパネルで思い通りに操作できる方法を模索し続けてきたのです。おかげで今や売上の大半をiOS関連の製品で賄うほどになりました。しかし、PCは未だに無くなってしまうほど衰退したわけではありません。AppleにとってMacはデザイン業を始めとするクリエイティブな分野を含め、まだまだ必須のマーケットを抱えているし、ホームユースでもかなりのインストール・ベースを持つ世界的なメーカーです。

しかし、Macを「デジタルハブ」として各種デバイスを操るという思想は既に過去のものになり、今後はiOSを中心としたコミュニケーション主体のモバイル環境が社会のハブになっていくであろうという考えから、Macはデバイスの一つであり、今後はiOSが中心となって製品が展開されていくことを宣言することになったのです。

『Back To Mac』とは、すなわちiOSの成功をMacに還元するという意味です。

Lionでは、例えばマウスのスクロールで普通はローラーを引いて転がすと画面上では下に移動するはずが、反対になります。つまり、タッチパネルでの動作では画面を下にフリップすると上に移動する原理と同じで、下に移動するにはローラーは前に押し出す動作になるのです。もちろん設定は変更できますが、これはデスクトップのコンピュータをメインに考えてきたこれまでの思想と異なります。
デスクトップコンピュータは今後ますます専門化した分野に限られるようになり、スマートフォンやノートブックが主役として使われていくことを想定した変更といえます。ノートではトラックパッドを使ってタッチパネルと同様のフィーリングで使うことを前提としているわけなのです。

それ以外にもiPhoneのホーム画面と同じようにアプリケーションのアイコンが並ぶLaunch PadなどiOSからの逆輸入でMac OSに影響を及ぼしている部分が沢山あります。

Windows OSが過去のしがらみ(レガシー)を捨てられないのとは対照的に、過去の遺産をあっさりと捨ててしまうAppleの作戦は果たして凶と出るか吉と出るか、これから結果が出てくるでしょう。

過去エントリ

5件のコメント

  1. おかげさまで無事にインストール出来ました。どうもありがとうございました!
    なるほど、実際触ってからこの記事を読むと色々納得です。
    今画像処理やWEB作成など、メインで使っているのはWinですが、この自作マシンも古くなってきたしMacメインに移行していこうと思います。やっぱりパソコンを触る時に悦びを感じるのはMacですね・・・

  2. jill miaさん
    前進のためなら何でも切り捨てるAppleですが、エンタープライズ部門も数年前あっさり見切りをつけました。Xserveというサーバは既に存在しません。まあ用途が限定されていたのもありますが。
    おかげで、導入していた顧客に呆れられたことも前職の経験として何度となくあります。
    結局、古い技術を延々とサポートしなければならないことが将来への足かせになるという理念であろうし、今の顧客に支持されることではなく、自分たちの想定した方向へ向かわせることがしたい会社なんでしょう。

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